漫画スラムダンクは、名言の宝庫だ。
スラムダンクの名言と言えば、真っ先に安西先生のアノ名言を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
「諦めたら、そこで試合終了ですよ?」
実はこの安西先生の名言も、原作では少しセリフが違ったりする。
その辺りも楽しんで頂けたらと思う。
単行本が手元にある方は、ぜひ単行本も観ながら楽しんで欲しい。
本記事では、湘北高校バスケ部の監督である、安西先生の名言を紹介する。
<この記事で分かること>
安西先生の心に残る名言
<安西先生プロフィール>
・本名:安西光義(あんざい みつよし)
・現在のニックネーム:白髪仏(ホワイトヘアードブッダ)
・過去の異名:白髪鬼(ホワイトヘアードデビル)
※とっても恐かった。
・性格:(今は)おだやか
・バスケ監督界隈での安西先生の評価:名将と呼ぶにふさわしい監督。ただし、昔は白髪鬼と恐れられていたため、多くの監督仲間は気軽には話しかけられない。
・困っていること:桜木花道にタプタプされること。
Contents
安西先生の名言13選!!
安西先生の名言を厳選して14個、紹介する。
(1)「キミは秘密兵器だから」26話
県内屈指の強豪校「陵南」との練習試合の前に、安西先生が桜木花道へ告げた名言だ。
「キミは秘密兵器だから」
超初心者の桜木花道が、自分もスタメン(スターティングメンバー)で出たいと駄々をこねるシーンである。
安西先生は、穏やかな口調で花道を諭(さと)す。
キミは秘密兵器だから、はじめから試合に出てはいけない。
重要な役割ですよ。
と暗に言っているのだ。(本心かどうかは置いといて…)
この作戦が功を奏したのか、結果的に秘密兵器的な役割を果たし、花道は、陵南と1点差の好ゲームの立役者となった。
この「秘密兵器」という言い回しは、その後、世に広く使われるようになりました。
単に「あなたは補欠です」的なネガティブなセリフを言わなければいけない場面でも、
「あなたは秘密兵器だから」
と言い換えるだけで、何ともポジティブな気持ちにさせてしまう魔法の言葉だ。
スラムダンクの安西先生から始まった「キミは秘密兵器だから」は、後に日本中で困った時に使われる、ポジティブワードとなった。
(2)「ふむ…きれいなフォームだ…」第67話
湘北高校バスケ部をつぶしに来た不良グループの主犯格である三井寿の回想シーンでの話。
三井が高校入学間もない1年生の時、湘北高校バスケ部の紅白戦をおこなった。
三井のシュートフォームを見て、安西先生がひとり呟いた一言である。
「ふむ…きれいなフォームだ…」
中学時代の三井を知る安西先生は、高校1年生の三井のシュートフォームを見て、あらためて感心する。
新入生だった三井と赤木の評価は、当時、真逆であった。
中学3年でMVPに輝いた三井に対し、恵まれた体格を持つものの、無名の赤木。
しかし、この試合中に三井は足を怪我してしまい、チームから離脱。
その間、赤木はチーム内で評価を高め、結果的に三井はチームを去ることになろうとは、この時の安西先生は、想像すらしていなかったであろう。
「ふむ、きれいなフォームだ」
このフレーズも、バスケ界隈では、よく使われるフレーズとなった。三井のシュートフォームを真似て、シュート練習したバスケフリークも多いのでは?
(3)「あきらめたら、そこで試合終了だよ」第69話
スラムダンクで最も有名なセリフと言えば、おそらくこのセリフだろう。
「あきらめたら、そこで試合終了だよ」
不良グループとバスケ部をつぶしに来た三井寿の回想シーン。
時は、三井の中学バスケ決勝戦。
来賓席に座っていた安西先生へボールが飛んでいき、負けを意識した三井に対し、安西先生は、おだやかに告げる。
「最後まで希望を捨てちゃいかん。あきらめたら、そこで試合終了だよ」
安西先生の言葉で目が覚めた三井は、その直後、逆転のシュートを決め、中学MVPとなった。
ちなみに、この「あきらめたら、そこで試合終了だよ」の名言は、実は1回ではありません。スラムダンク全話を通して、合計3回も出てきます。
<「あきらめたら、そこで試合終了だよ」が出てきた回>
・1回目:第69話(三井の回想シーン)
・2回目:第71話(三井の回想シーン)
・3回目:第241話(山王戦の後半、桜木に策を授けるシーン)
3回目の山王戦のシーンは、少しセリフの語尾が違って、
「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」
になっている。実はこちらの方が世間的には知れ渡っている。
実は、「諦めたらそこで試合終了ですよ」のセリフは、スラムダンク作中で3回も登場する。
(4)「タプタプタプタプ」
これは安西先生のセリフと言うか、安西先生のあごの辺りを桜木花道に「タプタプ」といじられている時のただの擬音だ。
しかし、この「タプタプ」も、確実にスラムダンク名物となっており、さらに市民権まで持つようになったので、ここで取り上げたいと思う。
あのたわわな二段顎を、タプタプしたい、と誰しも思うはず。
(5)「お前なぁんか勘ちがいしとりゃせんか?」第189話
こちらは、「ホワイトヘアードデビル」と呼ばれていた頃の、かつての安西先生のセリフ。
「お前なぁんか勘ちがいしとりゃせんか?」
見よ、この目。悪そうでしょ? 完全にヤクザですね。
大学バスケ監督時代、目を掛けていた「矢沢」へ、安西先生は、さらにこう告げる。
「お前の為にチームがあるんじゃねぇ。チームのためにお前がいるんだ!!」
ラグビーで有名な「One for all, All for one.」の後半部分を無視したパターンだ。
昔の安西先生、恐い!
(6)「正しくなかったと思い知らせてあげましょう」第200話
インターハイ初戦、豊玉高校との試合前。
バスケ専門誌に書かれた湘北高校と豊玉高校の下馬評を見て、安西先生が言い放った一言。
全国大会常連校の豊玉の評価は、Aランクに対し、全国大会初の湘北の評価は、Cランク。
安西先生は、おだやかに言う。
「気楽でいいじゃないですか。
これで多分、誰もウチが勝つとは思ってないですよ。
終わった時にわかるでしょう。
これが正しいか、正しくないか。
正しくなかったと思い知らせてあげましょう」
安西先生は、言葉はおだやかだが、どこか選手を心の底から鼓舞する力を持っている。
試合前のモチベーションを最高な状態へと持ち上げた瞬間だ。
(7)「全国制覇とは、口だけの目標かね」第206話
豊玉戦のハーフタイム、相手の挑発に乗ってしまう宮城リョータと赤木に、安西先生は静かに諭(さと)す。
「相手の安い挑発にのって、一人相撲のPG(ポイントガード)。
予想された徹底マークに意地になって、無謀な攻めを繰り返す主将(キャプテン)。全国制覇とは、口だけの目標かね」
安西先生は、選手を褒めるばかりではない。
叱るべき時は、きちんと選手を叱る。
ただし、安西流の叱り方は、単に声を張り上げるものではない。
現在の状況を冷静に分析し、選手へ気付きを与え、選手自身で反省するよう仕向ける。
まさに策士の叱り方だ。
安西先生の言葉で心をクールダウンした湘北は、怒涛の後半戦へ挑む。
(8)「まあ、わりといい方かな」第210話
豊玉戦の後半、桜木花道が特訓の成果「合宿シュート(普通のジャンプシュート)」を初めて決めたシーンで、安西先生が言ったセリフ。
これまでジャンプシュートのフォームすら知らなかった桜木を知る神奈川のライバルたちは、唖然として驚きを隠せないのに対し、地獄の2万本シュート合宿を共にした安西先生は、あたかも普通の出来事のようにさらりと呟く。
「まあ、わりといい方かな」
桜木と安西先生はハイタッチし、桜木のモチベーションを高める。
安西先生の言葉は、おだやかで独り言のように呟く程度だが、選手を高揚させる不思議な力がある。
(9)「リバウンドを制すれば勝てる」第211話
豊玉戦の後半終了間際、接戦を演じるチームに対し、安西先生は、最後の作戦を告げる。
「リバウンドを制すれば勝てる」
たった一つ、シンプルに伝える。
それが安西流だ。選手たちは、自分のやるべきことを理解し、チームの勝利へと導くのであった。
(10)「断固たる決意が必要なんだ」第216話
インターハイ2回戦、王者「山王工業」戦の前夜。
昨年の山王vs海南の試合をビデオで研究する湘北メンバー。
昨年の覇者である山王のメンバーは、今年も3人残っている、という衝撃の事実を突きつけられ、気圧(けお)される湘北メンバーへ安西先生が言うセリフ。
「彼らには、何よりも、去年、このトーナメントを最後まで勝ち抜いた”経験”がある。この違いは、思いのほか大きいものだ」
そして、安西先生は続ける。
「まだある。バスケットに興味のある者なら、その名を知らない者はないくらい山王工業は有名であり、人気がある。明日はたぶん観客席は満員でしょう。そして、いよいよ山王を倒せるかもしれないところまで追いつめたとしよう。するとどうだ…。突然、観客は山王の応援にまわる。無名の湘北が勝ってはいけないんだ、という雰囲気になっている。たとえ一時の善戦に拍手したとしても、人々は心の底では、王者・山王工業が緒戦で消えることなど、望んではいないものなんだ…」
昨年の海南VS山王のビデオが終了する。あの海南が、30点差のビハインドで負ける。
安西先生は続ける。
「全国制覇を成し遂げたいのなら、もはや何が起きようと、揺らぐことのない、断固たる決意が必要なんだ!!」
王者「山王」へ挑むには、今までのような気持ちでは全く足りない。
断固たる決意が必要なことを、言葉少なではあるが、重みのある言葉で語るのであった。
(11)「いくら山王といえど、三井寿は怖いと見える」第220話
山王戦の当日、試合前のトイレで偶然、安西先生と三井が居合わせる。
(偶然ではなく、安西先生が三井を付けていた、という推測もあるが)
安西先生は、三井へ話しかける。
「今、山王の先発メンバーが分かってね…。それが、SG(シューティングガード)だけ、いつもと違うらしいんだ」
安西先生は続ける。
「今日、出てくるのは、一之倉君といってね、全国でも有名なディフェンスのスペシャリストなんだそうだ」
そして、三井を見て安西先生は語る。
「いくら山王といえど、三井寿は怖いと見える」
三井のモチベーションを高める、これ以上に無い褒め言葉。これで三井のやる気が出ないわけがない。
余談ですが、安西先生は、なぜか三井のことだけ、「三井寿」とフルネームで呼び捨てにする場面が多くある。理由は明らかにされていないが、筆者の予想では、ゴロが良いからではないかと推測する。「みついひさし」、「みついくん」。うん、「三井寿」の方がおさまりが良い気がする。以上、余談でした。
なぜか安西先生は、三井のことだけフルネームで「三井寿」と呼ぶことが多い。
(12)「河田弟との1対1なら、絶対に桜木君だ」第230話
山王戦の前半、高校No.1センター河田の弟、通称「河田弟」が登場する。
マッチアップする湘北メンバーは、桜木花道。
安西先生は、偉大な兄を持ち、鳴り物入りで名門山王工業へ入って来た河田弟よりも、バスケ経験4か月の桜木の方が上であると断言する。
「河田弟との1対1なら、絶対に桜木君だ」
花道が、初めて湘北の得点源として指名された瞬間である。
それにしても、やはり安西先生は、選手を持ち上げるのが上手である。
(13)「それが出来れば、君が追い上げの切り札になる」第241話
山王戦の後半、山王の伝家の宝刀「ゾーンプレス」により既に24点差のビハインド。湘北は前半と打って変わって、敗色濃厚となってしまった。
そんな中、安西先生は、桜木をベンチへ下げ、一つの秘策を授ける。
オフェンスリバウンドを取る。
マイナス2点が、プラス2点のチャンスと変化する。つまり、オフェンスリバウンドは、4点分の働き。
「それが出来れば、君が追い上げの切り札になる」
現実問題、そんな単純な問題では無いが、そこをシンプルに伝えるのが安西先生の名将たる所以である。
桜木は、自分のすべきことが明確になり、文字通り、追い上げの切り札となるのである。
(14)「あと少しで一生後悔するところでした…」第270話
山王戦の終盤、桜木花道の背中の怪我を知りつつ、試合に出し続けていた安西先生は、静かに白状する。
「君の異変にはすぐに気づいていた。気づいていながら、君を代えなかった…代えたくなかった。どんどんよくなる君のプレイを見ていたかったからだ…。指導者失格です」
そして、安西先生はこう続ける。
「あと少しで一生後悔するところでした…」
安西先生は、自分の判断ミスを懺悔(ざんげ)する。
しかし、花道は、自分の今の気持ちをまっすぐ告げる。
「オヤジの栄光時代はいつだよ…。全日本のときか?」
そして、花道は覚悟を決めるように言葉をしぼり出す。
「オレは…、オレは今なんだよ」
試合は、残り時間、1分。
たった1分ではあるが、花道のバスケ人生を掛けた戦いが、再び動き出す。
まとめ|安西先生の名言14選!!
安西先生の数々の名言を紹介した。
こうして振り返ってみると、安西先生の人心掌握術が突出していることが見て取れる。
特に扱いずらい湘北高校バスケ部のような問題児軍団の心を動かすには、安西先生でなければ、山王工業や海南高校といった強豪校と接戦になるチームにはならなかっただろう。
筆者が思う安西先生を一言で表すと、
「ポジティブに人の心を操る天才」
だ。
単純明快な桜木花道しかり、無口で何を考えているのか分からない流川しかり、寡黙で頑固な赤木しかり、どの選手にもジャストミートな言葉で、その選手のメンタルを最高の状態へと導く。
これが安西先生の名将たる所以ではないだろうか。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。