内館 牧子さんが著者の「老害の人」をご存知でしょうか。
「老害」とは、
”自分が老いたのに気づかず(気をとめず)、まわりの若手の活躍を妨げて生ずる害悪。(引用元:Oxford Languages)”
という意味で使われる言葉です。
2024年に発売された鈴木おさむさんが著者の本「仕事の辞め方」では、ご自身を「ソフト老害」という言葉を使い、話題となりました。
こちらの鈴木おさむさんの本もとても面白いので、別の記事で紹介したいと思いますが、今回は、内館 牧子さんの「老害の人」を紹介したいと思います。
この記事は、
に読んで欲しい記事です。
特に40代~50代の方は、老害の被害者にも加害者にも成り得るので、特におすすめです。
では、参りましょう。本「老害の人」の感想とか!!
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本「老害の人」を読んで

著者の内館牧子さんは、TVドラマの脚本家で有名ですが、本もたくさん出されています。今回紹介する「老害の人」は、2022年に出版された作品です。
あらすじ
主人公の福太郎は、会社を引退した85歳の老人。妻の八重と夫婦水入らずで旅行などして、老後を満喫していた。
そんな中、妻の八重が亡くなる。一人の時間を持て余すことになった福太郎は、5年ぶりに引退した会社に顔を出す。
会社へ足を運ぶ頻度が増え、社内の人間から「老害の人」の目で見られるようになる。
見かねた明代(福太郎の実の娘)は、福太郎に面と向かって老害だと罵倒する。
福太郎はショックを受け、大人しくなったかのように見えたが、実は…。
登場人物と相関図

・戸山福太郎(とやまふくたろう): 主人公。85歳。自ら立ち上げた会社、雀躍堂(じゃくやくどう)の前社長。老害の人。
・戸山明代(とやまあきよ): 54歳。福太郎の一人娘。
・戸山純市(とやまじゅんいち): 明代の婿養子。雀躍堂の現社長。
・戸山梨子(とやまりこ): 福太郎の孫。明代の長女。看護師で多忙により実家にはほとんど帰らない。
・戸山俊(とやましゅん): 福太郎の孫。明代の長男。しっかり者。
・村井サキ(むらいさき): 79歳。福太郎に負けず劣らず、手ごわい老害の人。多くの「元」肩書きを持つ女性。
・竹下勇三(たけしたゆうぞう): 老害四重奏(カルテット)のひとり。老害の人。
・林春子(はやしはるこ): 老害四重奏(カルテット)のひとり。「早く死にたい」が口癖だが、至って元気。老害の人。
・林里恵(はやしさとえ): 春子の息子の嫁。春子を老害だと思っている。明代の友人。
・吉田武(よしだたけし): 老害四重奏(カルテット)のひとり。自称「俳句が得意」な人。老害の人。桃子の夫。
・吉田桃子(よしだももこ): 老害四重奏(カルテット)のひとり。自称「絵が得意」な人。老害の人。武の妻。
感想
初めこの本を手に取った印象は、
老人にすんごい失礼なタイトルだな
と思いました。
なんたって「老害の人」ですもんね。
表紙のイラストも、いかついオッサンですし。一見、いかにも関わりたくない老人です。
しかし、本を読み進めていくにつれ、老人の悲しい現状が随所に見られ、次第に老人目線で物語を見るようになり、ついには老人を応援している自分がいました。
そう、この本は、老人を侮辱しているのではなく、
老人をめちゃくちゃ応援している本
だったのです。
最後はハッピーエンドで終わる内容なので、幸せな気分に浸りたい方におすすめの本です。
学び
本「老害の人」は、架空の物語(フィクション)としても面白いですが、本の世界から現実世界に戻った時、私自身、様々な学びがありましたので、紹介したいと思います。
「老害の人」にも言い分がある
老害と邪険に扱われているシニア層にも、シニア層なりに主張があることが、大きな気付きの一つです。
例えば、老害四重奏の一人、春子さんの場合、家では里恵(息子の妻)から幼稚園前の幼い子供のような扱いを受けます。
トイレへ行くにも、自分ひとりでできるのに、失敗したら里恵の仕事が増えるという理由から、ガミガミ言われながら用を足す。
子供との接し方も同じですが、老人にも自分でできることは自分でやってもらう。
これが認知症予防にも効果があって、大切なことですよね。
老人は身体能力が衰えるから、失敗することもある。
ただ、それを温かい目で見守ってあげる優しい心も必要ですよね。
自分も実は「老害の人」と思われているかも
本「老害の人」を読んで、ちょっと怖いなと思ったのが、自らも気付かないうちに老害の人になっているかもしれない、ということです。
物語では、例えば、明代の友人の里恵が、自分の孫について語るシーンがあります。
里恵は、自分が老害の人であることを自覚していません。
しかし、里恵の孫の孫話に付き合わされる明代は、迷惑で仕方がありません。「老害の人」は、自分では老害と気付かないものなのです。
難しい問題だな
シニア層と上手に付き合う
シニア層と上手に付き合うと書いてみたものの、上手に付き合う必要はないと思っています。シニア層を邪険に扱うのではなく、年の離れた友人のように接するのが良い、という意味です。
日本では、特に高齢社会が進み、もはやシニア層とうまく共存せざるを得ない状況になっています。
職場や地域社会でシニア層の方々と関わることがあり、今まではなるべく穏便に済ませたい、なるべく関わりたくない、と思っていましたが、自分には無い考え方、エネルギッシュな行動力など、学ぶべきことも多いと思い返しました。
「老害の人」を読んで、シニア層の人を見る目が変わりました。本ってすごい!
「老害の人」を読んで、シニア層の人を見る目が変わった!
「老害の人」のNHKドラマ(2024年)
本「老害の人」を原作としたテレビドラマも放映されましたね。
2024年にNHKで放送された、全5話のドラマ「老害の人」です。
主役の福太郎役には、伊東四朗さんが演じられました。
本の原作とは少し変更されている部分があり、原作とは異なる部分を楽しむのも良いのではないでしょうか。
老害の人にならないコツ

「老害の人」を読んで、
老害の人には、なりたくないな
と思いつつ、自分では気付かないうちになっているのが老害なので、ちょっと怖いような気もします。
老害の人にならないコツとしては、以下のようなものではないでしょうか。
・自分語り厳禁!(自慢話、武勇伝)
・世間の考え方は、日々変化していることを自覚する。
・相手の考え方を尊重する。
Audibleのサブスクでも「老害の人」を無料で聴ける!
Audible(オーディブル)のサブスク(月額1500円の聴き放題)でも、本「老害の人」を無料で聴けます。
あなたの近くにも年配の方がいるのではないでしょうか。
時には「老害の人」のように見えてしまうこともあると思いますが、本当はそうでないことが多いような気もします。
まだ、本「老害の人」を読んでいない方は、是非、読んでみて下さい。
Audibleなら、隙間時間で聴き流すだけでOKです。
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まとめ|「老害の人」は学びのあるおすすめの1冊

本「老害の人」を紹介しました。いかがでしたでしょうか。
あなたの身近にも、主人公の福太郎のような老害の人がいるのではないでしょうか。
今は「老害の人」と邪険に扱ってしまいがちですが、人はいずれ老人になります。
自分が老人になった時、周りの人にどう扱われると嫌か、どう扱われると嬉しいか、について気付きを与えてくれるのが、この作品です。
心に刺さる名言も出てくるので、是非、お手元に置いて、一度は読んで欲しい本です。
年配の方たちに対して、心が優しくなれる本です。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

