終活で初恋に謝りに行く!?|内館牧子『迷惑な終活』は高齢者を元気にする物語
こんにちは、管理人です。
今回は、内館牧子さんの本「迷惑な終活」を紹介します。
老後のことを考え始めると、胸の奥に小さなざわつきが生まれます。
「そろそろ終活をしたほうがいいのだろうか」
「でも、何から手をつければいいのか分からない」
そんな戸惑いを抱えたまま、日々の忙しさに流されてしまう人は多いはずです。
世の中には終活ブームが広がり、断捨離やエンディングノートが「やるべきこと」として語られています。
けれど、いざ自分がそれをやるとなると、どうにも気が乗らない。
頭では必要だと分かっていても、心がついてこない。
その感覚は、とても自然なものだと思います。
内館牧子さんの小説『迷惑な終活』の主人公・英太(えいた)も、まさにその一人。
しかし彼の終活は、世間で言われる片付けや準備とはまったく違うものでした。
英太が選んだのは、
初恋の人に謝るという、人生の奥底に沈めてきた心の宿題に向き合うこと。
その一歩が、思いもよらない方向へ物語を動かし、周囲の高齢者たちの心に火を灯していきます。
- 「迷惑な終活」のあらすじ
- 「迷惑な終活」の登場人物と相関図
- 「迷惑な終活」の読みどころ
では、参りましょう。
内館牧子の高齢者小説シリーズのラスト「迷惑な終活」の魅力をたっぷりとご紹介!
Contents
あらすじ
定年を迎えた英太は、世間の終活ブームに背中を押されるように「自分も何か始めなければ」と思いながらも、どうにも気が乗らない。断捨離もエンディングノートも、どれも自分にはしっくりこない。そんな中、英太は最愛の母を失う。母を失うことをきっかけに、英太の「終活観」に変化が現れる。
「終活とは、生きているうちに人生にケリをつけることだ!」
英太の心に浮かんだのは、若い頃に傷つけてしまった初恋の人の存在だった。
「謝れないまま、人生を終えるのは嫌だ。」
英太が選んだ終活は、世間の常識とはまったく違う、心の奥に残った宿題に向き合うことだった。
初恋の人を探し出し、直接謝りに行く。
ただそれだけのために、英太は長年封じ込めてきた記憶と向き合い、行動を起こす。
しかし、その一歩は思いもよらない方向へと物語を動かしていく。英太の行動は、家族や周囲の高齢者たちを巻き込み、彼らの心にも変化をもたらしていく。老いを受け入れながらも、どこかで人生を諦めかけていた人々が、英太の姿に触発され、再び生きる力を取り戻していく。
終活とは、死に向かう準備ではなく、生きているうちにケリをつけたい大切なことに向き合う行為。英太の旅は、そんな気づきをそっと教えてくれる。
登場人物と相関図
原 英太(はら えいた):本作の主人公(75歳)
原 礼子(はら れいこ):英太の妻。周囲に終活を強いる。
むこうやま あかね:英太の初恋の人。
たむら ひでこ:あかねの同級生。女子バスケ部の元キャプテン。
ひろた:英太の同級生。しゃべり出すと止まらない。
読みどころ
(1)英太の終活は「片付け」ではなく「やらかしの清算」
世間の終活といえば、断捨離・エンディングノート・お墓の準備。
でも英太は、そんな模範的な終活には一切興味なし。
彼が選んだのは、
「初恋の子に謝りに行く」
という、まさかの心の不良債権処理。
しかもその理由が、
「このまま死んだら、あの子に申し訳ない気がする」
という、妙に人間くさくて愛おしいもの。
(2)英太の行動が、周囲の高齢者の「スイッチ」を押す
英太が初恋の人に謝りに行く。ただそれだけの行動なのに、
なぜか周囲の高齢者たちの心に火がついていきます。
「ワシも昔の彼女に謝っとくか…いや、やめとくか」
「あの時の借りを返しに行こうかしら」
「まだ人生、ちょっとくらい動いてもいいかも」
英太の暴走気味の終活が、なぜかみんなのやる気スイッチを押してしまう。
この連鎖が、読んでいて微笑ましく、どこか励まされたりします。
(3)終活は「死ぬ準備」ではなく「生き直しの口実」
英太の終活は、どう見ても死ぬ準備には見えません。
むしろ、
「人生の後半をもう一度動かすための口実」
にしか見えない。
でも、その口実こそが大事。
ずっと気になっていたことに向き合う
ずっと言えなかったことを言う
ずっと止まっていた心を動かす
英太の姿を見ていると、
「終活って、こういうのでもいいんだ」
と、あなたの肩の力もふっと抜けるはず。
(4)老後のリアルが笑えて刺さる
英太の行動は突飛に見えて、実はとてもリアル。
誰の心にも、ひとつやふたつ人生の宿題があるものです。
- あの時の一言
- あの時の選択
- あの時の後悔
それを抱えたまま老後に入るのは、ちょっと息苦しい。
でも、英太のようにちょっと笑える形で向き合えば、
人生の後半はもっと軽やかになるかもしれない。
あなたも笑いながら、
「自分にも、やっておきたいことがあるな」
と自然に考え始めるはず!
まとめ|内館牧子「迷惑な終活」を読んで
終活という言葉を聞くと、どうしても「死ぬ準備」という重たいイメージがつきまといます。
でも『迷惑な終活』の英太が見せてくれたのは、まったく逆の姿でした。
初恋の人に謝る。ただそれだけの行動なのに、
それが英太自身の心を軽くし、周囲の高齢者たちの人生まで動かしてしまう。
終活とは、物を片付けることでも、立派なノートを書くことでもなく、
「生きているうちに、自分の人生にケリをつけること」
なのだと、この物語は教えてくれます。
そしてその“ケリ”は、意外と小さなことだったりします。
長年気になっていた一言、言えなかった謝罪、伝えそびれた感謝。
それらに向き合うだけで、人生の後半が少し軽く、少し明るくなる。
英太の終活は、決して模範的ではありません。
むしろ、ちょっとズレていて、ちょっと笑えて、でも妙に胸に刺さる。
だからこそ、自分の人生に重ねやすく、
「自分も何かひとつ、やっておきたいことがあるな」と思えるのだと思います。
老後を考え始めた今だからこそ、この物語は心に響きます。
終活を「死の準備」ではなく、「生き直すきっかけ」として捉え直す。
そんな視点を与えてくれる、温かくて力強い一冊です。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。


